歯のメンテナンス 定期健診
Regular physical examination
なぜ健診が大切なの?
治療が終了すると、初診時と同様の検査をおこない歯周病や虫歯の治療の状態を最終チェックし、その結果を歯科衛生士からお伝えします。その後は健診へと移行していただきます。 定期的に来院して歯周病や虫歯のチェック、お口の中のクリーニングをすることによって、再発を防ぐことができます。 健診は治療ではありません。 歯周病や虫歯の予防の為に健診が欠かせないのです。「歯周病」は怖い病気です
「歯周病」とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。 歯と歯肉の境目の清掃が行き届かないと、そこに細菌がたまり歯肉周辺が炎症をおこして赤くなったり、腫れたりします。炎症が進行していくと、「歯周ポケット」と呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台が溶けて歯が動いてしまい、最終的には歯を抜かなければいけなくなってしまう、とても怖い病気なのです。 そして、自覚症状が無いのも「歯周病」の怖いところです。初期〜中等度の歯周病は痛みなどの自覚症状はありません。 でも、安心してください!歯周病を自分でチェックできる方法もあります。それは口臭です。「えっ!口臭って中高年からするもので、若い私達には関係ないでしょ?」と思った方、それは間違いです。20代の人でも約60%以上が歯周病にかかっていると言われているんです。 ではここで、チェック方法をご紹介します。- コップのニオイをかぐ
- コップの中に自分の息をはいて、吐いた息のニオイをチェックする方法です。コップに息を吐いてからいったん蓋をし、深呼吸をした後にコップの中の息のニオイを嗅いでみます。 少しでもニオイがすれば、口臭がある可能性があります。 コップの代わりにビニール袋などでも代用できますが、その際は袋自体にニオイのない物を選んでください。
- 舌を見る
- 自分の舌を鏡で見てみましょう。健康な人の舌はピンク色をしていますが、舌に白い苔のような物がつくことがあります。これを「舌苔」といいます。 舌苔がついている人は、口臭がある可能性があります。
- 舌のニオイをかぐ
- 舌苔がついていた人はさらに舌のニオイも嗅いでみましょう。コットンパフなどで舌苔を拭き取り、そのニオイを嗅いでみます。 自分でニオイが強いと感じた場合は、口臭がある可能性があります。
- デンタルフロスのニオイをかぐ
- デンタルフロスを歯と歯の間に通したあと、そのフロスのニオイを嗅いでみましょう。 フロスが臭いと感じるなら、口臭がある可能性があります。
- 唾液のニオイをかぐ
- 唾液のニオイでも口臭はチェックできます。 唾液のニオイが臭いと感じたら口臭がある可能性があります。
歯周病と全身疾患の関係
最近、患者さんの中にも「歯周病が気になる」という人が増えてきたように思います。実際に虫歯より歯周病を患っている人が多くいるのが現実です。 「お口の病気はお口の中だけのもの」と思っている人も多いと思いますが、実は、歯周病は体の中の様々な状態とも関連していて、全身疾患とも深く関係があるのです。 その中でも関連性の高い疾患を紹介します。- 糖尿病
- 「歯周病は糖尿病の合併症」と言われるほど深く関連する病気で、歯周病と糖尿病は「相互リスクの病気」と言われています。 糖尿病で高血糖状態が続くと免疫が落ちます。そして、感染症にかかりやすくなり、細菌感染が原因の歯周病にかかるリスクが高まります。また、高血糖状態で歯肉が炎症を起こすことで、歯周病がさらに進行しやすくなるのです。 歯周病から糖尿病への影響としては、歯周病菌により歯肉の中で炎症性物質が作られ、その物質がインスリンの働きを妨げて糖尿病を悪化させてしまいます。 歯周病の治療を行うことで、インスリン抵抗性が改善することなどが報告されており、糖尿病の血清コントロールに歯周病の治療が重要視されています。
- 誤嚥性肺炎
- 唾液や食べ物が誤って肺に入り発症する肺炎を誤嚥性肺炎といい、主な原因は唾液中に含まれる細菌です。歯周病菌は肺炎の原因となるものが多いので、高齢、認知症、脳血管障害、手術後など、食べ物の飲み込みを上手く行えない人は特に注意が必要です。
- 骨粗鬆症
- 骨粗鬆症とは、骨の形成と吸収のバランスが崩れることによって骨量が減少し骨組織の構造が弱くなり骨強度が減少する病気です。 骨粗鬆症によって骨がスカスカになると、顎の骨の量も少なくなります。それにより、骨粗鬆症の方は歯周病になりやすく、さらに、重症化しやすくなるのです。
- 低体重児出産
- 妊娠している女性が歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産のリスクは7倍になると言われています。これは喫煙や飲酒、高齢出産などよりもはるかに高い数値です。 歯周病による炎症性物質により陣痛が促進され、結果的に早産や低体重児出産が増えるのではないかという報告があります。