もしも歯医者さんで「抜歯」と言われたら・・・

虫歯の歯と抜歯の道具(ペンチやトンカチなど)のイメージ画像

抜歯は、骨に生えている歯を抜く外科手術です。歯医者さんで抜歯が必要だと言われてもすぐに納得はいかないと思います。

現在の治療法は、患者さんの気持ちに寄り添った、できる限り自然の歯を残す治療が主流となっていますが、それでもやはり歯を抜かなければならないケースや抜いたほうが良いケースがあります。それは「悪い歯があることで周りに悪影響があるとき」です。

具体的に、抜歯が必要となるのは以下のケースです。

  • 虫歯が進行し、歯の根の奥が化膿していて、治療を続けても症状が改善されないようなとき。
  • 歯がぐらついていて、インプラント治療や入れ歯治療が困難になるとき。
  • 親知らずが斜めに生えているため、奥まで歯ブラシが届きづらいとき。
  • 親知らずが骨の中に埋まっていたり、横向きに生えていて隣の歯を圧迫したり、歯茎などに悪い影響をあたえる危険性が考えられるとき。

「周囲に悪い影響が及ぶ」の判断は、歯科医によって異なります。しかし、「残しておくことで周囲の歯に悪影響を及ぼす歯は抜いたほうが良い」という考え方は、ほぼ共通ですので、主治医とよく相談してください。

抜歯手術後に注意すること

抜歯することを選択しても、歯を抜くということはどうしても体になにかしらの負担を掛けてしまいます。歯を抜いたあとは傷口が元どおりになるまでの数ヵ月間、術後ケアをしっかりとおこないましょう。

歯を磨いているイメージ画像

まず、抜歯後の歯磨きは傷口の様子をみながらおこなうようにしてください。歯を磨くときは、歯ブラシを軽く当てて磨きましょう。研磨剤が配合されている歯磨き粉は、傷口を刺激する可能性があるので避けてください。

うがい・運動禁止のイメージ画像
抜歯手術直後
口の中に刺激を与えないようにうがいは避け、血圧が上がるような運動も控えましょう。
抜歯後1週間
痛みや腫れが引いてきます。経過を見ながら抜糸を行います。
痛みがあり長引いているようなら、傷口のかさぶたがはがれていたり、できていなかったりして骨が露出している「ドライソケット」という症状になっている可能性があります。異常を感じたらすぐに主治医に相談し治療を受けましょう。
抜歯から2ヵ月経過
痛みはほとんど引いてきますが、抜歯後のくぼみに「食べかす」が入り込むのが気になりはじめます。爪楊枝や歯間ブラシを使ってきれいにしたくなる気持ちは分かりますが、傷口を傷付けてしまう可能性があるのでやめてください。
この時期は、強めのうがいで洗い流すのがおすすめです。
抜歯後から12ヵ月(約1年)が経つ頃
徐々に歯茎が再生され、だんだんと傷跡も分からなくなります。ただ、歯茎の下では骨の再生が続いているので完全に元通りというわけではありません。
抜歯後に必要なのは、傷口のケアだけではなく、放置せず、適切に人工歯を補うことです。
抜歯箇所をそのままにしておくと、噛み合わせのバランスを取るために他の歯が移動して噛み合わせがずれたり歯並びが悪くなったり、さらに、虫歯・歯周病になりやすくなる、顎関節症を発症する危険性が高まるので注意が必要です。
人工歯には、ブリッジ・入れ歯・インプラントがあります。抜歯前に歯科医師と相談して、治療法を決めておくことをおすすめします。

歯を抜いた後の正しいケア、また治療法を知っておくことは、傷の治りを早め今後の自分の歯を守っていくことにも役立ちます。
はる歯科診療室では、歯を抜く前に医師・スタッフがしっかりとカウンセリングをおこなっています。

親知らずの名前の由来

歯の生えた子どもと両親が笑顔のイメージ画像

子どもの歯の生え始めは、親であれば必ず気付くとてもうれしい出来事です。ただ「親知らず」の生え始めを知る親はほとんどいません。そのことから「親知らず」という名が付いたといわれています。(諸説あります)

親知らず・親不知(おやしらず)は「智歯」「知恵歯」「第3大臼歯」とも呼ばれ、10代後半から20代前半に生えてくることが多いとされていますが、全ての人に生えてくるわけではありません。上下左右の4本がばらばらに生えてくる場合や、全く生えてこない人もいます。また親知らずは、30代や40代に入って歯茎から突如顔を出し急にトラブルを起こすこともあります。

親知らずを抜いていないことは、「お口にトラブルを抱えている」ともいえるのです。

あなたの親知らず。今どんな状態?

鏡で口の中を見ている画像

親知らずとの付き合い方は、まず、自分のお口の現状について知ることから始まります。ぜひ、お口の中を覗いてみてください。
お口の状態は、段々と変わっていきます。定期的に最新の状態を確認してくださいね。

あなたの親知らずの状態は?
  • 完全に歯茎の下に埋まっている
  • 一部分だけ露出している
  • 完全に歯茎から露出している

この中で一番危険なのは、「一部分だけ露出している」場合です。このような親知らずは、最も虫歯や歯周病になりやすい状態にあります。露出している状態なのは「完全に歯茎から露出している」親知らずも同じですが、違いは“ケアのしにくさ”で、歯と歯茎のあいだに汚れが溜まりやすくなります。とくに一部だけ露出しているほうが歯ブラシが届きにくいため一番危険なのです。

さらに、その親知らずが上の歯の場合は、すぐそばにあごの骨があることも関係して、普通の歯ブラシで完全に汚れを落とすのは難しくなります。また「親知らずが埋まっている」と思っていても、じつは隣の歯に隠れて見えていないだけという場合も意外と多くありますので注意してください。

日本人はあごが小さいので、下の親知らずが生えてこないこともありますが、ずっと生えてこないままとも限りません。親知らずは自分でチェックすることはできても、判断することは難しいので、虫歯なども含めて歯科医院での定期検診をおすすめします。

40歳を過ぎたら要注意?!

40歳を過ぎた人が、歯を痛がっている画像

親知らずは、ただ生えているだけなら痛みを感じることはありません。生える場所、また生え方が特殊なだけで、歯自体の性質はそのほかの歯と変わりません。

親知らずがお口のトラブルメーカー的な存在とされているのは、「虫歯や歯周病になりやすく痛くなる確率が高いこと」が原因です。しかも、年齢を重ねると親知らずが痛み出す可能性が高くなります。その理由は、すでに親知らずが生えていたけどこれまで何の不具合もなかったとしても、歯周病のリスクは加齢に伴って上がります。年齢を重ねてからのほうが注意する必要があるためです。

親知らずを放置しておくと・・・

親知らずの抜歯と聞くと、多くの方が痛い治療、長期間の治療を想像するかもしれません。そのため、先延ばしにしてしまいがちですが、親知らずを放っておくと、さまざまなリスクが伴います。

周囲の歯がダメージを受ける
親知らずは磨き残しが起こりやすいため、ほかの歯に比べて虫歯や歯周病に侵される可能性が高くなります。そして忘れてはならないのが、虫歯や歯周病は伝染していくということです。親知らずが病気になったことで、隣の歯までダメになるケースは多く見られます。
特に、親知らずが横向きに生えてきた場合は、ぶつかる隣の歯の根部分が虫歯となってしまうことが多くあります。根の部分が虫歯になるとほぼ確実に神経が死んでしまいます。神経が死んでしまった歯は、割れたり欠けたりするリスクが高くなり、歯を失うことにつながります。
また、親知らずが歯周病になった場合は、歯を支える土台が吸収をする為、歯茎がやせて歯槽骨が溶け、隣の歯の土台にも悪影響が及びます。
噛み合わせに悪影響
私たちの歯は、噛み合う場所を求めて少しずつ移動しています。
「上下どちらかの親知らずだけ」が残っていると、相対する歯は噛み合う相手がいないので、親知らずの位置がずれてきて、相対する歯茎と噛み合ってしまったり、噛み合う歯を求めて徐々に移動してしまうのです。
虫歯や歯周病はセルフケアをしながら予防できますが、歯並びが変化してしまっては歯科医院での治療が必要になります。
抜歯の妨げになる要素が増加する
年齢を重ねると、生活習慣病にかかるリスクが高くなるといわれています。可能性としては、抜歯時の歯茎の炎症がなかなか治まらない、感染症を引き起こす可能性が高くなるといった事態が起こりやすくなります。
また、歯は骨に埋まっているため骨が硬くなると抜くのが困難になってしまいます。
炎症を起こしていてすぐに治療できない
長年親知らずを放置している人が抜歯を決断するのは、腫れや痛みが出てからがほとんどです。しかし、歯茎が腫れてしまっている場合は麻酔を打つことができないので治療できません。そうなると腫れが治まってから抜歯することになります。
このような状態になると痛みに耐える時間が長くなってしまい、普通に抜歯するよりもずっとつらい思いをすることになります。

このように、親知らずの抜歯、治療を先延ばしにしていると、大きなリスクになりかねません。ただ、親知らずの抜歯によるダメージは、上の歯か下の歯かで大きく異なります。

比較的骨の堅い下あごの親知らずを抜いた場合は、腫れは1〜2週間、長くても3週間ほどで治まることがほとんどです。上の歯なら、ダメージはさらに小さくなります。

ほとんど腫れない人も多くいらっしゃいますので「親知らずの抜歯=たいへんな治療」と決めつけてしまうのではなく、お口全体の健康を守るため歯科医とよく相談しお口の中をしっかりと把握しておくことが大切です。
何度も言いますが定期的に歯科医院に通い、親知らずが周囲の歯に悪い影響を及ぼしていないかをチェックしてもらうことが重要です。